以下の文章は私が1998年度の平田研卒業研究生(学部4年生)向けの LaTeX(tgif)講習会資料として作成したものの一部を HTML に移植したものです。原文は LaTeX で書かれていました。

なにかと不備もあるかと思いますが、何かの参考にでもなれば嬉しいです


tgif の基礎(平田研講習会資料から抜粋・一部訂正)

本文中の各種名称などは私(櫻井)の勝手な命名によるものであることを御了承下さい。


初歩

tgif では線分や図形、文字などを全てオブジェクト(パーツ)として扱います。つまり各オブジェクトごとに移動や拡大縮小が任意に行なえるということです。そのため図の修正などが容易になります。
以下にメニューバー及びアイコン等を図示します。

visual of Tgif

tgifでは操作モードとして選択モードと描画モードの2つに大きくわけられます。選択モードではオブジェクトの選択や移動、拡大縮小などを行ない、描画モードでは各種図形を入力します。

モードの切替えはMode メニューやマウスの右クリックで出てくるメニューから行ないます。“左上向き矢印”を選択すれば選択モード、それ以外なら各種描画モードです。

また、アイコンメニューの操作方法は基本的にマウスの右・左ボタンで内容変更、中ボタンでメニュー・一覧操作ですが、アイコンによっても違いがあるのでそれぞれ確認して下さい。


プリントアウト

tgif で書いた図をプリントアウトする場合は、プリント出力アイコンをプリンタに 合わせてプリント命令を出せばOK です。プリント出力アイコンの変更を忘れないようにしましょう。


TeX への取り込み

tgif で書いた図を TeX で利用する場合には、ファイルを eps 形式で保存しなければなりません。プリント出力アイコンを LATEX(EPS) に合わせてプリント命令を出せば、eps ファイルとして保存されます。ちなみに tgif の標準のファイル形式は“obj”形式です。

TeX で取り込んで xdvi で出力を確認する場合、eps ファイルは内容(図)は表示されず、図の大きさを表す枠だけが表示されます。これは xdvi の処理を軽くするための処理です。どうしても図が見たい場合は xdvi の右下のほうにある“PS Fig”というボタンを押すことによって、図の表示/非表示を切替えることが出来ます。


日本語入力

tgif は標準では日本語を使うことが出来ません。日本語を使いたい場合は tgif とは別に、 kinput2 &などと入力して kinput2 を起動しておく必要があります。

tgif での日本語入力操作は mule などとは違うので注意して下さい。文字入力モード(モード切替えメニューのT)で、C-[SAPCE]とすると日本語入力モードに入ります。C-jで変換、C-dで一文字削除、C-lで確定、SHIFT+矢印キーで文節長さ変更などが出来ます。カーソルの位置移動などはマウスで選んでしまうのが楽でしょう。また、[TAB]で一時的に日本語モードを抜けることも出来ます。これ以上の細かい操作については各自で調査して下さい。

日本語を使う場合は、フォントでちゃんと日本語フォントを指定しておかないと文字化けしてしまいますので、その点も注意して下さい。


フォント指定

日本語入力にも少し関連してきますが、tgif で使えるフォントは限られています。日本語では Ryumin(明朝体)、Gothic の二つ。英語では Times と Courier の二つです。英語の場合、他のフォントでも表示できますが、プリンタが上記2つの英語フォントしか印刷出来ないため、印刷時は強制的にフォントが変更されてしまいます。使わないほうがいいでしょう。


プルダウンメニューウィンドウの移動

プルダウンメニューのウィンドウは表示位置を移動させることができます。プルダウンメニューを出した状態からマウスをドラッグするだけで移動させられます。複数のメニューを画面内のあちこちに配置することも可能です。このメニューのコマンドを実行したい場合は、マウスの真中のボタンを使います。うまく使えば、快適な操作環境をつくれるかもしれません。


ショートカットキー

tgifのコマンドの多くにはショートカットキー(ホットキー)が設定されています。メニューのなかで、^と書かれているものはコントロールキーを押しながら、#と書かれているものはメタキーを押しながら、^#と書かれているものはコントロールキーとメタキーを押しながら指定のキーを押せば実行できます。メニューを出す必要がなく、ダイレクトに操作できるので覚えれば操作のスピードアップが可能です。


選択モードにおける各種操作

領域の選択
マウスの左ボタンを押してそのままドラッグしてボタンを離すと、ボタンを押した位置を左上、離したところを右下とする四角形の領域を選択したことになります。こうすると、この領域内のオブジェクトを全て選択できます。
オブジェクトの拡大縮小
オブジェクトを選択するとオブジェクトの周囲に■が複数表示されます。この■をマウスで選んでドラッグすることによってオブジェクトの拡大や縮小が可能です。角の■なら任意の拡大縮小が、辺の途中の■なら縦もしくは横方向への拡大縮小が出来ます。
visual of Tgif
オブジェクトの移動
オブジェクトを選択した状態で、オブジェクトの前景部分(図そのものの部分)を選んでドラッグするとオブジェクトの移動が可能です。もしくは、オブジェクトを選択した状態でキーボードの方向キーでも移動できます。

図形入力のキャンセル

図形を指定している途中に間違えてしまった場合、図形を確定しておいてから削除でもいいですが、指定途中でエスケープキーを押せば指定のキャンセルが可能です。ただし、何も指定していない状態まで戻ってしまうということに留意しておいてください。もしかしたら確定してから修正した方が早いという場合もあるかもしれません。


tgif 有効利用のコツ(平田研講習会資料より抜粋・訂正)

以下では tgif を使う上で知っていると美味しいなということを紹介しておきます。

本文中の各種名称などは私(櫻井)の勝手な命名によるものであることを御了承下さい。


オブジェクトの複数同時指定

マウスで領域を選択する以外にも、コントロールキーを押しながらオブジェクトを選択すると複数のオブジェクトを同時に選択することが可能です。複数選んだなかから一部だけを選択から外すということもコンロールキーを押しながらやれば可能です。


オブジェクトの前後関係

全てのオブジェクトには前後関係が存在します。大きな黒い四角のオブジェクトと小さな丸のオブジェクトがあった場合、大きいオブジェクトが小さいオブジェクトの前にあると、小さいオブジェクトは隠れてしまって見えなくなるでしょう。このような場合は前後関係を変更してやる必要があります。メニューの Arrange の Front や Back で変更が可能です。ショートカットキーを覚えましょう。あとで触れるオブジェクトの前景背景と組み合わせるといろいろと微妙な図形を書くことができます。


オブジェクトのグループ化

あるまとまった図形を移動させたりするのに、いちいち範囲指定などで全オブジェクトを選択していては面倒です。そこでtgif にはオブジェクトのグループ化という概念が存在します。グループ化されたオブジェクトは全体でひとつのオブジェクトとして扱うことが出来るので、移動や前後関係の変更も一括で行なえます。当然グループを解除することも出来ますし、グループをさらにグループ化することも可能です。コマンドは Arrange メニューの Group,Ungroup です。ショートカットキーを覚えましょう。


オブジェクトの前景と背景

普通に使っていると気づかないかもしれませんが、オブジェクトには前景と背景のふたつの領域が存在します。例えば四角形を書いた場合、四角形の辺を構成している部分が前景、四角形の内部が背景となっています。図形によっては単純に線分と内部というふうにはわけられないんですが……。例えば文字の場合は文字自体が前景、文字が表示される四角形の領域内部の文字以外が背景といったふうになります。

この前景と背景というのは、それぞれ模様や色を指定することが出来ます。指定はメニューの前景アイコン、背景アイコンや色指定アイコンで可能です。プリンタがモノクロなので、色指定はおすすめしませんが……。

さらに前景や背景には透明[NONE]を指定することも可能です。これらと前述のオブジェクトの前後関係を駆使すると様々な図形を書くことが出来るでしょう。ちなみにデフォルトでは前景が黒ベタ、背景が NONE となっています。


グリッドの幅変更

tgif の図形というのは位置をドット単位で指定するわけではありません。グリッドと呼ばれる格子状の桝目上でオブジェクトの位置などは指定されます。グリッドの幅は変更出来るので、オブジェクトのおおまかな位置を決める場合やきれいに揃えた図を作りたい場合には幅を大きく、微妙な調整をする際には幅を小さくするなどといったように用途に合わせて変更するのがいいでしょう。コマンドは Layout メニューの +Grid,-Grid で実行できます。ショートカットキーを覚えましょう。

なおグリッド幅の変更には限界があるので、表示倍率を大きくしたからといって細かいグリッドが使えるというわけではありません……。


オブジェクトの位置揃え

複数のオブジェクトの左端を揃えたり、下端を揃えたりといったこともコマンドで実行できます。Arrange メニューの Align〜 です。グリッド幅の変更とともにうまく使ってください。美しい図を作るには便利な機能です。


フォントの強調

フォントはボールドやイタリックにして強調することが出来ます。Text メニューの Textstyle から変更可能です。


フォントサイズ自由化

文字フォントの大きさは通常、フォントサイズによって決定されます。そのため文字を含む図形を拡大縮小した場合でも、文字の大きさは変更されません。しかしフォントサイズの自由化をONにすると図形の拡大縮小に合わせて文字の大きさも変更されるようになります。なんて便利な機能なんでしょう。変更はTextメニューやフォントサイズ自由化アイコンから出来ます。


縦横比を維持した拡大縮小

オブジェクトの拡大縮小の方法はすでに説明しましたが、拡大縮小する時にポインタ(■)を選んだあとにコントロールキーもしくはシフトキーを押しながらドラッグすると、オブジェクトの縦横比を維持したままの拡大縮小が可能です。便利なり。


複写コマンドの有効利用

tgif はコピー、カット、ペーストといった標準的なオブジェクト操作も可能ですが、それ以上にお世話になるのが Edit メニューの Duplicate(複製)コマンドでしょう。オブジェクトを選択した状態でこのコマンドを実行すると、そのオブジェクトのコピーをひとつ右下のグリッド位置に複製します。この複製の位置をマウスやカーソルで変更したあとに、続けて Duplicate コマンドを実行すると、さきほど作った複製の位置関係を維持したまま次の複製を作ってくれます。つまり、一個目の複製をオブジェクトの右隣に作ったとすると、次から複製コマンドを実行するたびに次々と右隣に複製をつくってくれます。これによってきれいに並んだ図などが簡単に作成可能です。

ただし、複製位置が離れ過ぎると複製された図が画面外に飛んでいってしまうこともあるので、そのへんは注意してください。ショートカットキーを覚えましょう。


復元コマンド

復元( Undo )コマンドはひとつまえの編集を取り消してくれるものです。tgif ではテキストエディタなどに比べて復元コマンドを使用することが多くなると思います。ショートカットキーを覚えましょう。


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